今回のブログは、「22歳の新入社員目線で考える業務設計書の書き方」と題し、業務に即したシステムを導入するための一歩を踏むためのノウハウを解説します。
【この内容を見てほしい企業・担当者】
このような方に届けたいコンテンツとなります。
また、すべてのフローをまとめたホワイトペーパーや動画もございますので、ブログと併せてご覧ください。
▼ 動画による解説はこちら
突然ですが、これを読んでいるあなたに3つの質問です。
すべての質問に、自信を持って「できます!」と答えられない状態でシステム導入をしても、現場が使えるシステムにはなりません。
では、3つの質問のどれか1つでも「できない」と思った方に再度質問です。
そのような状態になっているのはなぜでしょう。導入した当時を思い返してみてください。
こんな状況ではありませんでしたか?
● 業界×業務のプロフェッショナルな社内メンバーがシステム開発プロジェクトの打ち合わせ→運用テストに参加できていない
● 導入したITツールは業界に特化したシステム(Vertical SaaS)ではなく、導入事例が満足できるほどなかった
● 同業他社がすでに導入しているが、利用方法や利用業務の詳細までは聞ける状態ではなかった
● 自社が改善したいことをシステム会社やツール提供会社に説明できなかった
これらの状況は、システム導入失敗の理由でよく挙がるものになります。
システム導入成功率は52.8%と言われており、失敗してしまう5つの要因は以下のとおりです。
この52.8%という成功確率を限りなく100%にするために、フライクではビジネスモデルの把握→業務設計→システム設計→システム開発→定着化支援というフローを実践しております。
この記事では、そのノウハウをもとに新入社員の目線から考える業務設計書の書き方についてお話しします。
そもそも、みなさんは「業務設計」をどのように捉えているでしょうか。
フライクでは、業務設計を次のように定義しております。
システム導入には欠かせない「業務設計」。家造りにおける「設計」と同じで、非常に重要な工程となります。
会社のビジネスモデルの把握、売上に直結するフロントオフィス領域の業務の流れ、企業存続に不可欠な利益を残すためのバックオフィス領域での業務とシステムの流れを把握・見える化します。
業務設計書を作成することで得られるメリットは、3つあります。
①自部門・他部門の業務フローのつなぎ目をなくし、理想的な業務フローを共通認識化
②理想的な業務フローから逆算したシステム導入後のイメージを把握
③企業の成長に合わせて機能追加が可能なシステム基盤&システム投資を最小限に
前章では、業務設計の大切さについて説明しました。
この章では、「どのようなステップで業務設計書を記載したらいいか」「どのような思考方法をすれば設計書を作れるのか」についてお伝えしていきます。
◎客観的に考える
● なぜ、この業務をしているの?
● なぜ、この業務をしないといけないのか?
● これ、誰のためになっている?
● これ、やる必要あった?
● やる必要がなければ、辞めよう!
◎5W1H&5W2Hで考える
● When:いつ、その業務を実施する?
● Who:誰が、その業務を実施する?
● What:何のシステムを使って、その業務をする?
● Where:どこで、その業務をする?
● Why?:なぜその業務をやろうと思う?
● How?:どうやって次の工程にバトンタッチする?
● How Much?:その工程が生み出す価値は?
以上のポイントを押さえることが、業務設計書を作成するためには非常に重要となります。
迷ったり、どうしたらいいんだろう?と悩んだりしたときは、この基本を思い出してください。
業務設計書を0から作成するのは非常に多くのエネルギーが必要です。
ですが、ここでは難しく考えすぎず、2つのステップで業務設計書を作成できるようにわかりやすく解説します。
他企業の具体例もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
【このステップにおける目標】
● 自社のビジネスモデルをしっかり把握することでこれから詳細を考えていく業務フローのきっかけをイメージする
● 自分が担当する業務だけではなく、周りの部署の業務を把握することで組織全体の業務フロー最適化ができるようになるイメージを持つ
【ビジネスモデルへの理解と再認識方法】
● ここではビジネスモデルキャンバスというフレームワークを使って考えていきます。
● このフレームワークは新しいビジネスのバリデーション(確認・検証)や、自社ビジネスモデルのコンセプチュアライゼーション(概念化)などの場面で使われています。
● また、競合他社の分析にも役立ち、競合他社の商品価値、顧客との関係、収益の流れなど、他社のビジネスモデルを可視化することも可能です。新規事業の創出に用いられるケースもあり、キャンバスを活用して説得力の高いビジネスモデルを作ることで、社内外の関係者から理解を得るのにも有効です。現在、ビジネスモデルキャンバスは世界各国で利用されています。
【ビジネスモデルキャンバスとは】
①顧客/Customer Segment(CS)
「誰に価値を提供するか?どの顧客セグメントに標準を合わせれば自社サービスや商品を使ってくれるのか?」を決めていきます。
②提供価値/Value Propositions(VP)
商品やサービス、事業の存在価値を定めます。「顧客のどんな悩みを解決するのか」「どのような願望を叶えるのか」を設定します。自社の事業が誰にとって特別な価値・強み(Unique Selling Proposition)を与えているかを客観的に考えていきます。
③チャネル/販路/Channels(CH)
価値を届けるためのルートを設計したり、PRをしたりするための方法がチャネルです。「店舗型なのか、それともネット販売型なのか」「オンラインとオフラインのどちらで告知するのか」などを決めていきます。
④顧客との関係/Customer Relationships(CR)
どうやって顧客との関係を構築し維持、展開していくのかを考えます。売り切りのフロービジネスなのか、顧客との永続的な関係性を前提としたストックビジネスなのかなどのモデル構築はもちろん、「事業として新規顧客を増やすのか、既存顧客を大切に育成しアップセルを狙うのか」など、事業の方向性も明確にしていきます。
⑤収益の流れ/Revenue Streams(RS)
マネタイズのポイントや、お金の流れを決定します。つまり、価値提供の結果、どのように収益を得るのかを決める項目です。「どうやって顧客に価値を届け、対価を得られれば、顧客は喜ぶのか」を考え、さらに「一度きりの売り切りでお金を回すのか、それとも定額制サービスをつくるのか」など、支払いのタイミングや方法を明確にすることで信頼できるビジネスモデルを構築できます。
⑥キーリソース/主要な資源/Key Resources(KR)
ビジネスをスムーズに動かすために必要なリソースの量です。会社のリソースとは、主にヒト・モノ・カネ・情報の4つ。この4種類を最適な量に設定しなければいけません。リソースが多すぎると無駄が発生しますし、少なかったらビジネスがうまく機能しません。ちょうどいいキーリソースを確保することで、安定したマネジメントに近づきます。
⑦キーアクティビティ/主要な活動/Key Activities(KA)
営業活動やメディアへの露出など、事業をスムーズに進めるために必要な活動を決めます。サービスや商品を生み出して、マネタイズするために欠かせないアクティビティを設定することは、ビジネスモデルを組み立てる上で肝といえます。
⑧キーパートナー/主要パートナー/Key Partner(KP)
ビジネス規模を拡大して、より多くの顧客を満足させるためにはパートナーとの連携が大切です。パートナーとは、主要な活動の実行を支援する外部の関係者・サプライヤーを指します。 どのようなパートナーと協力関係を持つかを決定することでリスクを軽減し、リソースを獲得しながら事業を展開できます。
⑨コスト構造/Cost Structure(CS)
価値を提供するためにかかるコストを考えます。該当するのは人件費、販売促進費などです。コストは特に慎重に決めるべきポイントです。各項目を踏まえたうえで現実的な額を導き出さなければいけません。コストによって、製品や提供するサービスの価格をどの程度にするか、どのように回収していくのかも変わるため、できる限り全体像を把握する必要があります。
【ビジネスモデルキャンバスを記載するための3つのコツ】
一般的には印刷したビジネスモデルキャンバスに直接書き込むよりも、ポストイットなどに情報を記載して貼り付けて使うケースが多いようです。
また、実際に使う際には以下のコツがあります。
①1カ所に時間をかけすぎない
②シンプルにまとめる
③各ビルディングブロックをすべて埋める
【ビジネスモデルキャンバスの具体的な例】
①Amazon×ビジネスモデルキャンバス
②Spotify×ビジネスモデルキャンバス
③Google×ビジネスモデルキャンバス
④Tesla×ビジネスモデルキャンバス
【このステップにおける目標】
● 自分が行っている業務を5W2Hで棚卸しを行い、「22歳の新入社員」でもわかりやすい状態にする
【見える化するための3つのステップ】
この工程は3つのステップから成り立っています。
ステップ②-1 業務の大まかな流れを押さえる
ステップ②-2 詳細の業務を5W2Hで棚卸しをする
ステップ②-3 チェックポイントを記載し、「改善ポイント」がないかを客観的に考える
ここまで理解できたら、あとは実践あるのみです。
いかがでしたでしょうか?
今回は、業務設計の重要性とその有効的な書き方についてお話ししました。
今回は「22歳の新入社員に伝えられる」という視点から解説しましたが、
つまり誰でも理解できるように自社の業務と現状の課題を見える化し、「自社のことをしっかり伝える」ための準備が必要不可欠です。
システム導入成功率を100%に近づけるために、「業務設計」に取り組みましょう。
有効な「業務設計書の書き方」についてもっと知りたいという企業様はフライクへお問い合わせください。
今回ブログで解説した内容をホワイトペーパーでダウンロードすることができます。PDFでいつでも見返せるようにしたいと考えている人は、ぜひダウンロードしてみてくださいね。
NEW ARTICLES