こんにちは、システム組立ちゃんねるを運営している、株式会社フライクの大瀧です。
本日のブログのテーマはこちら。
私たちフライクは、SalesforceやBox、freeeなどさまざまなITツールを導入支援するご依頼をいただいています。
私たちが自信を持ってお伝えできることは、フライクが提案・開発・導入を実施した企業は、着実にシステムを「武器」に変革しているということです。
その理由の一つは、ご支援させていただいている企業さまが、しっかりと経営資源である時間、費用、人のリソースを投下し、「業務設計×システム設計」を実施したあとに、システム導入をしているからです。
この「業務設計とシステム設計」は、私(大瀧)が在籍していた富士通時代(2010年〜2014年)に実施してきた内容がルーツとなっております。
そこに、私なりの知見を取り入れた、自社オリジナルのやり方を実践しています。
アジャイル開発やクラウド型のITツールであるSaaSが流行っている昨今、良くも悪くも契約後すぐに利用できるITツールがあります。
しかし、それらのツールを契約時の期待値と同様もしくはそれ以上に利活用できない企業も非常に多く、私たちフライクに相談いただくSalesforceやfreee、Boxなどクラウドサービスを利用する企業で、業務設計書やシステム設計書を見ることはほとんどありません。
なぜ業務設計書やシステム設計書を見ることがないのか?
それは、提案しているITツール開発企業やシステム開発をしている企業の設計書作成工数が減るため、トータルの構築費用は安くなるからかもしれません。
原因は一つではありませんが、私はシステム導入成功率が52.8%である理由は、
「業務設計書」や「システム設計書」がない。つまり、富士通のSDEMにおける上流工程と呼ばれる情報化構想立案、システム化計画・システム要件定義をないがしろにしているからではないか?と考えております。
そこで、このブログを通して、業務設計やシステム設計の重要性、さらにはそれらを作成するための具体的な手法について解説したいと思います。
まず「なぜ、経営者や経営陣が大切な経営資源をITシステムに投資するのか?」について考えていきたいと思います。
その理由の多くは、ビジネスや企業成長においてIT利活用の重要性を理解しているからです。
しかし、その一方でITプロジェクトの成功率は52.8%と言われております。
出典:日経ビジネス電子版『プロジェクト失敗の理由、15年前から変わらず』
限りある経営資源を再投資するにも関わらず、2社に1社がITシステムの導入に失敗しているという現状は、大企業より中堅・中小企業のほうが非常に深刻です。
その理由は、中堅・中小企業の利益率(売上高計上利益率)は3.48%と言われ、限りある利益の中から、再投資に回しているからです。
そうなると、万が一ITシステムの導入に失敗してしまった場合、企業が存続するために必要不可欠な資産を失うことになりかねません。
ですが、システム開発の失敗の5大要因は明確になっています。
これらを解決する手法があれば、中堅・中小企業もIT投資する可能性が少しでもあがるでしょう。
ここでは、そのシステム開発失敗の5大要因をご紹介いたします。
それぞれの要素について、私なりの見解をお伝えします。
1.業務知識・業務管理知識の不足
システム提案している企業(受注者)はシステムには強いですが、業務知識は不足しております。
一方、システム導入希望企業(発注者)は自部門の業務は知識はあるものの、業務フローを正確に把握していることは少なく、更に、他部門となると業務の知識はもちろん業務フローは理解できておりません。
2.パッケージ活用の認識不足
世の中には多種多様なITツールがあり、金額もピンキリです。システム導入希望企業(発注者)はツールを仮決めして問い合わせをして提案を受け、これなら解決できそうだという将来的な期待値に対し、投資を判断し、契約をしてしまいます。
もし、自社で情報システム化やITツールを見極める力がない場合、顕在化している課題は解決できるかもしれませんが、潜在化している課題、そして近い将来発生するであろう課題を意識したパッケージやツールの選定はできているのでしょうか?
3.発注者・受注者のコミュニケーション不足
契約完了後、すぐに利活用し、課題を解決することはできません。しっかりと自社の業務フローやビジネスのやり方を再検討し、契約したITツールやシステムにを合わせる必要があります。
しかし、システム導入希望企業(発注者)は自社のことをうまく伝えきれず、システムを提案している企業(受注者)は自社プロダクトの機能ばかり説明するといった不毛なやり取りをしてしまうこともしばしば発生します。
4.プロジェクト管理能力不足
システム導入を成功に導くために、システム導入希望企業である社内には推進役が必要不可欠です。
しかし、多くの企業では専任ではなく兼任で推進役を担っています。それではせっかく投資したITシステムは利活用されず、宝の持ち腐れになってしまいます。
5.技術力不足
システム提案をしている業者は大きく分けて3種類あります。
①コンサルティングファーム
経営戦略や組織再編といった上流の現状把握・理想像を導き出すコンサルティング業務がメインのため、ITツールやシステム領域における専門家ではありません。
②ITツールやプロダクトを開発しているメーカー
自社プロダクト・自社サービスは深く把握しておりますが、他社プロダクトに関しては、把握する必要があまりないため、他社ツールの提案はできません。
③ITツールの代理店および他社製品のシステム開発をしている企業
自社の利益が一番上がりやすい・利幅が大きいサービスを提案しがちです。また、自社で導入しているITツールだけの提案になってしまうこともあります。
つまり、残念ですが、上流のコンサルティングとツール選定、複数ITツールの組み合わせを行い、経営課題を解決するためのITツール導入では「どの企業の誰と一緒にITシステムを導入するかを決めることは非常に難しい」というのが現実です。
そこで、私たちフライクはこれら5大要因をしっかりと受け止めたうえで、「業務設計書」と「システム設計書」を作成しております。
企業の利益を増やすために必要なシステムを構築し、現状の業務フローをしっかりと把握&認識齟齬を少しでも無くすためです。
業務設計書やシステム設計書を作成するには、ヒヤリングが必要です。
業務設計のヒヤリングで実施することは、次の3項目です。
● 会社のビジネスモデルの把握
● 売上に直結するフロントオフィス領域の業務の流れ
● 企業存続に不可欠な利益を残すためのバックオフィス領域での業務とシステムの流れ
その結果、マーケティングから会計につながる一連の業務を把握することができます。
さらに、現行の業務フローに加え、あるべき姿、業務と業務、部署と部署の境目をなくすための理想的な業務フローを検討していきます。
それらをわかりやすく落とし込みをした資料が「業務設計書」です。
↓業務設計
マーケティング⇔営業⇔会計
部署と部署の境目をなくした理想的な業務フロー図
そして、その業務設計書を元に、今度はシステム設計のヒヤリングを行います。
システム設計のヒヤリングで実施することは、以下の4項目です。
● 理想的な業務フローから逆算して、考えられる必要なすべてのシステムや機能を洗い出す
● 今必要な機能、将来必要な機能をディスカッション
● 3ヶ年、5ヶ年計画とシステム投資計画を検討
● 直近で必要なシステムにおける「ITツールの選定」、「画面設計(UI)」、「複数システムの連携」
これらについてヒヤリングを重ねながらディスカッションもしていきます。
そして、わかりやすく落とし込みをした資料が「システム設計書」です。
↓システム設計
理想的なシステムを実現するためのITツール・画面設計・システム連携組立図
業務設計書とシステム設計書を作成することで得られるメリットは、3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
組織全体の業務フローをしっかりとヒヤリングをしていきます。
具体的には下記領域におけるヒヤリングとなります。
● マーケティング領域
・「いつ」、「どこで」「どんな経路」で自社のことを認知し、どういった手法で問合せが発生するか等、認知した顧客から見込み顧客となるプロセス
● フロントオフィス・ミドルオフィス領域
・初めての契約締結に至るまで、「誰が」「いつ」「どのような営業行為を実施して」契約に至るかのプロセス
・サービス・商品を提供し、納品するまでのプロセス
・さらに、新しいサービスや他の商材、役務と言った追加受注までに至るプロセス
● バックオフィス領域
・役務の提供完了〜請求〜入金まで、売上を入金に変え、利益を確保するまでのプロセス
これらの領域をヒヤリングしていくため、一部の部署だけではなく、組織全体の業務フローを把握することができます。つまり、決算書の損益計算書(P/L)がどうやって出来上がるか?を把握することがゴールとなります。
企業のサービスや商品におけるマーケティング〜フロントオフィス〜ミドルオフィス〜バックオフィスまでの現行業務フローを把握した後に、「この業務のやり方に変えたい」「前の工程でここまで情報があるなら次の工程ではこうしたい」といった理想的な業務フローを洗い出します。
その理想的な業務フローを作り上げるために必要な情報を共有するために必要なシステムはどのようなシステムになるか?を考えていきます。
そのため、導入したいITツールをピン留めし、そのITツールと周辺業務をカバーできるITツールを連携したイメージを設計書に落とし込みをしていきます。
その結果、理想的な業務フローを実現するためのシステムの具体的な画面や様々なITツールのシステム連携組立図を作成していきます。
そこで、ピン留めしたITツールで「理想的な業務フローが実現できるか?」を検証することが可能となります。
理想的な業務フロー図(業務設計書)×理想的な業務を支えるシステム(システム設計書)
↓
最適な業務プロセス×システム連携組立図
マーケティング〜フロントオフィス〜ミドルオフィス〜バックオフィス
業務と業務、部署と部署の隙間をなくした全体最適化の組織
従来、ITツールを導入して自社仕様に変更する場合は、クラウドサービスを契約してから仕様決定・開発・運用開始が主流でした。
しかし、業務設計・システム設計を行う場合はクラウドサービスを契約する必要は全くありません。だからこそ、時間をかけて
● 現在の課題を解決するために必要不可欠な機能
● 優先順位は高いが緊急度が低い課題を解決する機能
● 将来発生するであろう課題
など、追加開発計画やシステム投資計画を綿密に立てることが可能となります。
その結果、企業の成長を支えるシステムのプラットフォームが完成し、さらに、システム投資に無駄のない計画を立てることが可能となります。
私たちフライクで実施する「業務設計」および「システム設計」は、以下のフローで進めて参ります。
【Step1 現状把握】
会社のビジネスモデルや商品単価、売上構成要素を把握した上で、商品・サービスの受注に至る経緯の把握および承認・請求・入金・会計入力までのフロー、顕在化している課題をヒヤリングします。
具体的には以下の内容を実施いたします。
● ビジネスモデルの理解
● サービス特性の理解
● 現行業務フローヒヤリング
● 現行利用システムヒヤリング
【Step2 業務設計×システム設計】
マーケティング〜フロントオフィス〜ミドルオフィス〜バックオフィス領域における理想的な業務フロー×利用システムの関係性を設計していきます。
具体的には以下の内容を実施いたします。
● 理想的な業務フロー設計
● 新システム導入に向けたシステム設計
【Step3 導入ツールと開発内容の検討】
Step1〜2を通して実施していきたヒヤリング内容および設計書をもとに提案書およびシステム開発費用の算出およびスケジュールを算出いたします。
システム導入を安く済ませたい、導入したら今の課題が解決できる、もしかしたら思わぬ副産物も得られるのでは?といった考え方は非常に近視眼的な考え方となります。
ビジネスモデルやサービス特性の理解、マーケティング〜フロントオフィス〜ミドルオフィス〜バックオフィス領域における業務フローの把握、そして、業務プロセスを最適化した上でのシステム導入を実施すれば、今と同じ従業員数や時間で今以上の売上高を上げることができ、さらには利益率の増加も見込めます。
業務と業務の隙間をなくし、最適化された業務フローとシステムは企業の業績向上にシステムという武器が大きく貢献することができます。
それが、私たちフライクが目指す「システムを武器に変革」することです。
私たちフライクで業務設計×システム設計をするメリットは大きく分けて3つございます。
メリット①:あらゆる業種・業態に対応可能
現在の売上高や利益を残すためのプロセスを把握しながら、マーケティング〜フロントオフィス〜ミドルオフィス〜バックオフィス領域を設計していきます。
BtoBビジネス、BtoCビジネスなどの違いはありますが、業務設計とシステム設計していくプロセスとなるため、どのような業種や業態でも対応が可能です。
メリット②:コンサルティング領域⇒システム導入・伴走支援までを一気通貫で提供
業務設計×システム設計を行った後、システムの導入や再構築は必ず行います。そのため、コンサルティング領域だけで終わりではなく、システム導入・伴走支援まで一貫して対応をしております。
メリット③:複数のクラウドサービスを組み合わせた、統合業務型システムの実装を実現
自社の業務に合わせたシステムを0から導入するとなると、数千万〜数億・数十億の投資が必要となります。そこで、クラウドITツールを有効活用して、複数のシステムを組み立てることで、SaaS型の統合業務システムを早期に、そして安価に作ることが可能です。
今回は、フライクが取り組む業務設計とシステム設計について解説いたしました。
100年続く企業には利益を確保し続ける仕組みが必要だと、フライクは考えております。
それを実現するためにはシステムを武器に変革することはもちろん、システム導入を成功に導く必要があります。
もし、このブログを通して、業務設計やシステム設計に興味をお持ちいただき、相談してみたいということであれば気軽にフライクまでご相談いただけたら幸いです。
弊社がおすすめするITツールは全て自社の業務で使用しているもの、もしくは研究投資として使い勝手や費用対効果を検証したものです。
ぜひ今回紹介したITツールを利用し、生産性の向上や業務改善を実現していただけたらと思います。
本ブログやITツールについてのお問い合せもお待ちしています。
株式会社フライク 代表取締役 大瀧 龍
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