業務設計プロジェクトは、システム導入のためだけではない ― 現場が業務改革を受け入れる「心の準備期間」というもう一つの役割 ―

業務設計プロジェクトは、システム導入のためだけではない ― 現場が業務改革を受け入れる「心の準備期間」というもう一つの役割 ―

業務に課題を感じたとき、多くの企業は無意識のうちに次のような思考をたどります。

  • 「新しい商材の販売も始まるし、情報を一元管理したい……じゃあSalesforceを入れよう」
  • 「経理業務や会計処理が大変で人も採用できない……freee会計を入れれば解決するはず」
  • 「請求書の受け取りが煩雑すぎる。最近よく聞くバクラクか、楽々明細を検討しよう」

どれも、よくある判断です。実際、それぞれのツールは優れており、「正しい選択肢に見える」のも事実です。

しかし、ツール導入後にこんな声が聞こえてきます。

  • 「思ったほど使っていない」
  • 「結局、元のシステム・Excel運用などの先祖返りに」
  • 「業務は楽になるどころか、むしろ増えた」

なぜこうなるのでしょうか?

ITツール――Salesforceでも、freeeでも、バクラク、楽々明細のせいでもありません。

問題は、【業務改革を伴うシステムの変更や、現場運用の変更を受け入れる準備が整わないまま、ツールという「解決策」だけが先に決まってしまっている】ことです。

フライクがシステム開発やツール選定から話を始めないのは、この構造を何度も見てきたから。

本記事では、フライクの「業務設計プロジェクト」が重視する

●なぜ業務設計がシステム導入の前に必要なのか
●なぜ数ヶ月という時間をかけてプロジェクトを実施するのか
●業務設計が現場の「変わる覚悟」をどう支えているのか

について、実際のプロジェクトをもとにお伝えします。

課題が見えた瞬間に「じゃあシステムを入れよう」となってしまう企業へ

業務に課題を感じたとき、多くの企業が最初に考えるのは「どのシステムを入れるか」です。それは自然な発想であり、間違っているわけではありません。

しかし、その思考の流れ自体が、実は失敗プロジェクトの入口になっていることに、ほとんどの企業が気づいていません。

この章では、なぜ課題を見つけた瞬間に「システム導入」が答えになってしまうのか、そしてフライクがなぜ絶対にシステムの話から始めないのかを明らかにします。

さらに、善意で始めたはずのプロジェクトが、なぜ誰かを悪者にする構造を生んでしまうのか――その本質に迫ります。

なぜ、課題を見つけると「システム導入」という思考にたどり着いてしまうのか?

多くの企業では、業務の課題を感じた瞬間、こんな声が聞こえてきます。

  • 「業務量が多くて回っていない」
  • 「人が足りず、残業や休日出勤が増えてしまう」
  • 「進捗や数字が見えず、管理職が不安を感じる」

よくある課題ですよね。
そして気づいたときには、こう聞いている自分がいませんか?

「何かいいシステムは、ありませんか?」

この思考の流れは、決して怠慢から生まれたものではありません。

むしろ、経営層もマネージャーも現場も、「早く解決したい」「本来自分たちの価値を届ける仕事がしたい」という誠実さから出発しているはずです。課題を放置せず、具体的な一歩を踏み出そうとする姿勢は、本来評価されるべきものです。

しかし、落とし穴があります。

「課題発見→どうにかしたい→システム導入」
という思考回路そのものが、失敗の入口になっているのです。

では、なぜこうなってしまうのでしょうか?

それは、システムが「手段」ではなく「課題解決の答え」として、過度な期待を受けてしまっているからです。

  • 「Salesforceを入れれば、営業情報が一元管理できる」
  • 「freee会計があれば、経理の負荷が減る」
  • 「バクラクで請求書受取処理が効率化する」

これらの言葉はすべて正しく聞こえます。むしろ、正しいと断言できます。実際、各ツールは優れた機能を持っています。

ただし、前提が一つ抜けています。

それは、

「私たち人間が手間ひまかけて作り出した業務の流れ――つまり業務フローが、そのままシステム運用の流れに備わっているか?」

という観点です。

もちろん、「今の業務の流れ=システム」になると思っている人は少ないはずです。
しかし、「ITツールならそれを解決してくれそう」と思っていませんか?

業務の流れが社内の共通認識になっておらず、人それぞれやり方が異なり、今使っているITシステムや課題が発生する本当の理由が整理されていない状態でシステムを入れても、

  • 現場は混乱
  • 入力項目が定まらない
  • 結局Excelや今の業務の進め方に戻る

こんな状態になってしまいます。

こうした結果は、システムの問題ではありません。
業務遂行とシステム運用の間に「準備」がなかったことが原因です。

フライクが「絶対にシステムの話からスタートしない」理由

フライクがプロジェクトを始めるとき、「どのシステムをどのように使っていますか?」という質問は一切しません。たとえシステム刷新プロジェクトであってもです。

「え?どうして?システム刷新なのに?」と思うかもしれませんが、そこには確固たる理由があります。その理由をしっかりご理解いただくために、少し長くお話しします。

私たちが最初に向き合うのは、
「そもそも、あなたの企業は、誰の何を解決するために、何を販売・提供しているのか?」
という問いです。この点を時間をかけて、丁寧にヒアリングしていきます。

つまり、ビジネスモデルのヒアリングです。

具体的には、こんな問いを投げかけていきます。

  • お客様はどのような属性で、なぜあなたの企業のサービスを購入するのですか?
  • その売上は、社内のメンバーの「誰が・何を・どうやって」生み出しているのですか?
  • 売上から利益に変わるまでの流れで、社内・社外メンバーはどのように関与していますか?
  • 成長を阻害しているボトルネックは、どこにあると思いますか?

一見すると、システム導入とは関係ないように思えるかもしれません。
でも、ここを理解しないまま「システムを入れよう」と動き出すと、必ず失敗します。

なぜそこまでやるのか?理由はシンプルです。

【システムは”ビジネス成長や業務遂行における課題解決のため”に導入するもの】
だからです。

当たり前ですが、システム導入は手段であって、目的やゴールではありません。

ビジネスモデルを理解しないまま、システムの話を進めてしまうと、

  • 正しい課題を把握できない
  • 自社の業務やビジネス成長を支えるシステムを選定できない
  • 将来発生する課題や壁を乗り越えるシステムを検討できない

という状態に陥ります。

たとえば、「営業情報を一元管理したい」という課題があったとします。
この言葉だけを聞いて、「じゃあSalesforceを入れましょう」と提案するのは簡単です。

しかし、フライクはそこで立ち止まります。

  • 営業はどんなプロセスで商談を進めているのか?
  • 案件情報は誰が・いつ・どこで入力しているのか?
  • マネージャーは何を見て、どう判断しているのか?
  • そもそも「一元管理」とは、誰のための、何のための言葉なのか?

こうした問いに答えられないまま、システムだけを入れても、現場には「何を入力すればいいのか分からない」という混乱が生まれます。結果として、システムは使われず、Excelや従来の業務遂行の手法に戻る——。

これは、システムが悪いのではありません。
ビジネスの構造とシステムの目的が、噛み合っていないことが原因なのです。

フライクが最初にビジネスモデルを分解するのは、「システム導入のため」ではありません。「このビジネスが、本当に成長するために必要なことは何か」を見極めるためです。

そして、その答えが見えたとき、初めてシステムの話が意味を持ちます。
システムは手段です。目的ではありません。」
だからこそ、フライクは絶対にシステムの話から始めないのです。

誰も悪役になりたくて、このプロジェクトを始めてはいない

システム導入プロジェクトが失敗したとき、必ず「犯人探し」が始まります。

しかし、よく考えてみてください。

  • IT投資を決断した経営陣
  • 稟議を回したマネージャー
  • 現場を少しでもいい環境にしようと汗水垂らした現場メンバー

誰一人として、「失敗させよう」と思ってプロジェクトに関わった人はいません。

それなのに、結果として何が起きるのでしょうか?

  • 「使わない現場」が悪者にされる
  • 「推進した人」が責められる
  • 最終意思決定した経営陣が責任を取る

こうした構図が生まれてしまいます。
でも、本当は誰も悪くないのです。

悪いのは”始め方”であり、”プロセス”なのです。

誰も失敗したくて、利益を無駄遣いしたくて「IT投資」なんてしていません。
みんな会社をよくしたい、現場を楽にしたい、ビジネスを成長させたいという想いで動いているはずです。

それなのに、なぜ失敗してしまうのか?

それは、「システムありき」で始めてしまうからです。
「もう失敗しない」システムを導入するために。
「また失敗しない」システムプロジェクトにするために。

 

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業務設計・システム設計に5〜6ヶ月かける本当の理由

「5〜6ヶ月もかけて設計プロジェクトをするなんて、時間がかかりすぎじゃないですか?」

フライクのプロジェクトを知った多くの方が、こういった疑問を持ちます。

確かにシステム導入だけを考えれば、もっと短い期間で進められるかもしれません。
ITツール・SaaSを選んで、設定して、トレーニングして、運用開始——このステップだけなら、2〜3ヶ月で完了することも可能でしょう。

しかし、急いで導入したシステムは、本当に現場で使われているでしょうか?
本当にビジネスの成長を支える武器になっているでしょうか?

答えは、多くの場合「No」です。

フライクが業務設計・システム設計に5〜6ヶ月をかけるのは、「現場の業務整理・資料作り」だけのためではありません。

【現場が業務改革を受け入れるための「心の準備期間」を確保するため】です。

システム導入は、単なる新しいツールの導入ではなく、組織の変革プロセスそのものなのです。

変化を急ぐほど、現場は防御に入ります。しかし、時間をかけて向き合うことで、現場から自然と改善案が生まれ、マネージャーが自ら判断できるようになり、「これはシステムでやる/やらない」という線引きが腹落ちしていきます。

5〜6ヶ月かけて実施する設計書作成の本質

フライクは、業務設計・システム設計プロジェクトに5〜6ヶ月かけて何をしているのか?

一言で言えば、
「As-is – To-Be」の徹底的な洗い出し
●システム導入を成功させるための土台づくり
です。

しかし、それらは表面的な成果物です。本当の成果物は「形」で表すことができません。
具体的に言うと「人が改革を受け入れるための心の準備」をしています。

「コンサルタントとして、それは回答不十分。職務放棄では?」と思われたかもしれません。

しかし、私たちフライクは「システムを入れること」よりも「人が輝いて働ける環境を作るシステム」にフォーカスしています。だからこそ、このようなことを伝えるのです。

設計プロジェクトの本質は、「経営層・マネージャー層・現場層」が三位一体となり、システム導入後の未来を描けるようになることです。

その未来を描くために、フライクの納品物があります。

納品物を受け取るのはユーザー企業です。そのユーザー企業が「これで自分たちの組織改革がうまくいく」と思えなければ、納品物は絵に描いた餅であり、机上の空論で終わってしまいます。

その納品物を、これからシステムという形にしていくのです。設計書でワクワクしていないと意味がありません。

1.設計プロセスで実施していること

では、具体的に設計プロジェクトの中で何をしているのか?
主に以下の3つのことを、時間をかけて実施しています。

① 判断が属人化しているポイントの洗い出し

現場では、多くの判断や作業が「あの人に聞かないと分からない」「あの人じゃないとできない」という状態になっています。

  • この経理処理は、あの人じゃないと分からない
  • このExcelは、あの人が作ったものだから、あの人じゃないと修正できない
  • この顧客対応の判断は、あの人に確認しないと進められない

こうした判断基準や作業手順が、特定の人の頭の中やローカルファイルにしかない状態では、システムを入れても機能しません。

フライクは、これらの属人化ポイントを一つひとつ洗い出し、「誰でも判断できる基準」「誰でも実行できる手順」に落とし込んでいきます。

② 暗黙知の言語化

「なんとなくやっている」「言われなくても分かる」——こうした暗黙知は、組織の中に無数に存在します。

しかし、システムは「なんとなく」を理解してくれません。

だからこそ、設計プロジェクトでは、現場の暗黙知を丁寧にヒアリングし、言語化していきます。

  • なぜこの順番で作業をしているのか?
  • なぜこの情報を確認しているのか?
  • なぜこのタイミングで報告しているのか?

これらを言葉にすることで、初めて「システムで何をすべきか」が見えてきます。

③ 「なぜ今まで変えられなかったか」の棚卸し

多くの組織には、「変えたいけど変えられない」業務が存在します。

  • 非効率だと分かっているが、誰も手をつけられない
  • 過去に変えようとして失敗した
  • 変えると現場が混乱するから、現状維持を選んでいる

フライクは、こうした「変えられなかった理由」も丁寧に棚卸しします。
なぜなら、その理由を理解しないままシステムを入れても、同じ壁にぶつかるからです。

「なぜ変えられなかったのか」を明らかにすることで、「どうすれば変えられるのか」が見えてきます。

2. 業務設計:As-is – To-Beの洗い出し

業務設計のフェーズでは、まず「現状の業務プロセス(As-is)」を徹底的に可視化します。
具体的には、以下の点を明らかにしていきます。

  • 誰が、いつ、どこで、何を、どのように行っているのか
  • どのシステムを使い、どのような手順・順番で入力しているのか
  • 入力した情報が、前後の業務で誰の、どの作業に役立っているのか

こうした現場の実態を丁寧にヒアリングし、整理していきます。

次に、「あるべき姿(To-Be)」を描きます。

  • どのプロセスを残し、どこを変えるべきか
  • どの業務をシステム化し、どこを人が判断すべきか
  • 誰が意思決定し、誰が実行するのか

この「As-is – To-Be」の洗い出しによって、システム導入後の業務が明確になり、現場が迷わず動けるようになります。

3.システム設計:ITツールの利用イメージと機能要件の洗い出し

業務設計で整理した「To-Be」をもとに、システム設計に入ります。
ここでは、具体的なITツールの利用イメージを描き、必要な機能要件を洗い出します。

  • どのツールを使うのか(Salesforce、HubSpot、Notion等)
  • どんな画面で、どんな情報を入力・閲覧するのか
  • どのITツール同士を連携させると業務が楽になるのか?片方向連携か双方向連携か?
  • どんなレポートやダッシュボードが必要か
  • 将来必要となるシステムとの連携性はどうか?

この段階で、現場は「実際にシステムを使っている姿」を具体的にイメージできるようになります。

抽象的な「システムを入れる」という話ではなく、「こう使う」という具体的なイメージが共有されることで、現場の納得感が生まれます。

4. 三位一体でシステム導入の未来を描く

設計プロジェクトのゴールは、設計書を作ることではありません。

作成した設計書を見て、経営層・マネージャー層・現場層の三者が、それぞれHappyになる未来を描けるか?が重要です。

  • 経営層:システム導入によって、ビジネスがどう成長するのかを理解する
  • マネージャー層:自分たちの判断基準やマネジメントスタイルが、どう変わるのかを腹落ちさせる
  • 現場層:日々の業務がどう変わり、何が楽になるのかを具体的にイメージする

この三者が同じ方向を向いていないと、システムは成功しません。
フライクが5〜6ヶ月かけるのは、この「三位一体の合意形成」を丁寧に築き上げるためです。

設計プロジェクトは、単なる資料作成ではありません。

組織の構造を理解し、現場の声を拾い上げ、未来の業務を描き、全員が納得できる形に整える

——この一連のプロセスこそが、システム導入を成功させる鍵です。

なぜ”急がない”ことが、システム成功率を高めるのか

システム導入を急ぐ組織ほど、失敗する——これは、フライクが数多くのプロジェクトを通じて実感してきた現実です。

「早く導入して、早く効果を出したい」という気持ちは理解できます。しかし、変化を急ぐほど、現場は防御に入り、システムは形骸化します。

では、なぜ”急がない”ことが、システム成功率を高めるのでしょうか?

1.変化を急ぐほど、現場は防御に入る

「来月からこのシステムを使います」

「今までのやり方は変えてください」

こうした急な指示に対して、現場はどう反応するでしょうか?
多くの場合、現場は「防御モード」に入ります。

  • 「また上から決められた変更か」という不信感
  • 「今のやり方でも回っているのに、なぜ変える必要があるのか」という抵抗感
  • 「新しいシステムを覚える時間がない」という拒否感

こうした状態で導入されたシステムは、形だけ入っても、現場に使われることはありません。変化を急ぐほど、現場は心の準備ができず、システムは”押し付けられたもの”になってしまうのです。

2. 時間をかけることで起きる変化

一方、5〜6ヶ月かけて丁寧に設計プロジェクトを進めると、組織の中に明確な変化が起き始めます。

① 現場から改善案が出始める=プロジェクトが自分ごと化

プロジェクトの初期段階では、現場は「言われたことに答える」という受け身の姿勢です。

しかし、「自分が発言してもいい」「否定されない」という心理的安全性が担保されると、現場の意識が変わり始めます。

  • 「この情報、もらっても使っていないんですよね」
  • 「この情報、もっと早く共有できたら〇〇部は楽になりませんか?」
  • 「この作業を自動化すれば、一週間で5時間は削減できると思います!」

こうしたポジティブな発言が生まれてきます。

現場から改善案が出始めたとき、システム導入は「押し付けられた変化」ではなく、「自分たちで選んだ改革」に変わります。

② マネージャー層が組織全体を俯瞰する視点を獲得する

設計プロジェクトを進める中で、マネージャー層に大きな変化が起きます。

  • 「営業が持っている顧客情報や受注情報、失注理由をマーケにも共有できれば、施策の精度が上がりそう」
  • 「カスタマーサクセスが把握している定着化を阻害する原因を、営業が商談前に把握していれば、提案方法を工夫でき、適切な期待値を顧客に示せる」
  • 「経理が『経営管理』を支えるには、数字を早く締める必要がある。だから営業部の自分たちは、正確な数字を早期に渡す業務フローを作ろう」

設計プロジェクトに参加することで、マネージャー層は経営層と同じ目線で組織を捉えられるようになります。これは、システム導入後の運用を成功させるだけでなく、マネージャー自身の成長にもつながる重要な変化です。

③ 「システムで解決する課題」と「人が運用で解決すべき課題」の線引きが自然に決まる

時間をかけて業務を整理していくと、「何をシステムに任せ、何を人がやるべきか」が自然に見えてきます。

例えば、月に1回しか発生しない複雑な業務があったとします。頻度は低いものの、この業務が非常にストレスのかかる作業で、毎月この日を迎えるのが憂鬱だという声が現場から上がっていたとしましょう。

このような場合、「月に一回だけだから手作業でいい」と判断するのではなく、「この業務が現場にどれだけ心理的負担をかけているか」という視点で考えることが重要です。

実際、その業務のストレスで前後2日間は高ストレスな環境になり、業務生産性が落ちている可能性もあります。つまり、月に1日の作業が、実質的には3日間分のパフォーマンス低下を引き起こしているかもしれません。

このように、単純な「業務負担の量」だけでなく、「ストレス」という奥行きも把握することで、システム化すべきか否か、人がやるべき仕事かどうかをしっかりと見極めることができます。

丁寧に設計を進めることで、この線引きが明確になり、システムと人の役割分担がスムーズに決まります。これは、システムを「押し付けられたもの」ではなく、「自分たちが選んだ改革」として受け入れるための重要なプロセスです。

3.システム成功率が上がる現実的な理由

時間をかけることで組織の意識が変わる——これは理想論ではなく、現実的な成功要因です。

具体的には、以下のような変化が起きます。

① SaaS選定が「作業」から「確認」に変わる

設計プロジェクトを丁寧に進めると、「どんなシステムが必要か」が明確になります。

自分たちの業務や数年後の姿から逆算して考えることで、今どのシステムを選択すべきかを、意思を持って選べるようになります。

つまり、SaaS選定は「どのツールのどの機能が魅力的か?」を探す作業ではなく、「現在と未来の課題に対して、要件を満たすツールかどうかを確認する作業」になります。

結果として、ミスマッチが減り、導入後の「思っていたのと違う」というトラブルが起きにくくなります。

② 過度なカスタマイズを避けられる

導入を急ぐと、「このシステムを今の業務に合わせてカスタマイズしよう」という発想になりがちです。

しかし、時間をかけて業務を整理すると、業務スタイルの中で「変えてもよい部分」「変えてはいけない・変えられない部分」が明確になります。その結果、「カスタマイズすべきか否か」を適切に判断できるようになります。

これにより、過度なカスタマイズを避け、シンプルで運用しやすいシステムを構築できます。

③ ITツールの守備範囲を決める

一つのITツールにすべての機能があればいいのですが、そうはいきません。マーケ、セールス、ミドルオフィス、バックオフィスと組織全体最適化を目指すためには、ITツールもそれぞれの領域で複数入れることが多くなってしまいます。

設計プロジェクトで業務フローと役割分担を整理しておくことで、「どのITツールと、どのITツールを連携させるか」「そもそも連携できるかどうか」といった判断がしっかりできるようになります。

結果として、導入後の混乱が減り、スムーズに運用がスタートします。

4. 設計プロジェクトは「説得」ではなく「腹落ち」をつくる時間

システム導入を急ぐ組織は、「説得」に時間をかけます。

例えば、次のような場面です。

経営陣への稟議資料
– IT投資を承認してもらうために作成した、机上の空論でしかない費用対効果の資料

現場マネージャーへの説得資料
– 稟議承認を急ぐための値引き交渉資料

こうした説得資料は、数字や理屈といった「正論のロジック」は整っているかもしれません。しかし、実際に現場で使う人たちには「納得感」が生まれません。

説得は、「頭では理解できる」状態を作るだけです。

どれだけ説得しても、現場が心から納得していなければ、システムは使われません。

一方、時間をかけて設計プロジェクトを進める組織は、「腹落ち」をつくります。

  • 「この業務、本当に無駄だよね」
  • 「このシステム、確かに楽になりそう」
  • 「このルール、自分たちで決めたから守れる」

こうした腹落ちがあるかどうかが、システム導入の成否を分けます。

① 誰かに強制された改革は長くは続かない

「経営層が決めたから、現場は従うべき」——こうした姿勢でシステムを導入しても、現場は形だけ従い、実質的には使わなくなります。

システムは、現場が「使いたい」と思わなければ、定着しません。

② 自分たちで決めたルールは守る

一方、設計プロジェクトを通じて、現場が「自分たちで決めた」と感じられるルールは、自然と守られます。

  • 「このデータは、こう入力しようと決めた」
  • 「このタイミングで、この情報を共有しようと決めた」

こうした自分ごと化があるかどうかが、システム運用の継続性を左右します。

システム導入を成功させるためには、「急がない」ことが重要です

時間をかけて、現場の声を拾い上げ、業務を整理し、全員が納得できる形を作る——
この「腹落ち」をつくるプロセスこそが、システムを”使われるもの”にする鍵なのです。

 

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まとめ:業務設計プロジェクトは、システム導入のためだけではない

ここまで見てきたように、「業務設計プロジェクト」は単なる「システム導入の準備作業」ではありません。

このプロジェクト自体が「組織・意識改革」そのものとなるのです。

システム導入は、確かに組織変革の大きなきっかけになります。
しかし、本当に価値があるのは、「システムを入れるプロセスで、組織が変わること」です。

◆業務設計、システム設計の本当の価値

「業務設計プロジェクト」を丁寧に進めることで、次のような価値が生まれます。

組織が変わる準備を整えること
-急激な変化ではなく、段階的に「変わる準備」ができる

現場が前を向き、自分ごと化すること
– 押し付けられた改革ではなく、「自分たちが選んだ改革」として受け入れられる

投資を”失敗”にさせず、経営陣・マネージャー層・現場が三位一体となること
– 全員が同じ方向を向き、システムを「使われるもの」にできる

これらは、どれだけ優れたシステムを導入しても、時間をかけなければ手に入りません。

◆もし今、貴社がこんな状況にあるなら

  • システム導入やリプレイスを検討している
  • 過去に失敗した経験がある
  • どこから手を付けたらいいかがわからない

フライクが最もお役に立てるタイミングです。

私たちは、業務設計からシステム選定、導入後の定着支援まで、組織全体が前を向いて進めるように伴走しながら、システム導入を成功させるための「組織の準備づくりを支援」します。

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自己紹介
大瀧 龍 株式会社フライク 代表取締役

福岡県福岡市出身。富士通グループ会社のシステムエンジニアや営業支援などを経て、2017年にfreee株式会社に参画。九州支社長と広島営業所長を兼任し、2019年には西日本の責任者としてマザーズ上場に貢献する。同年2019年に「3rdコンサルティング株式会社」を創業。システムを活用した中小企業の経営課題解決やIT化、DX化支援に取り組む。システムエンジニアや営業として現場で培った経験を生かして、フロントオフィスとバックオフィスの両方をカバーし、システム設計・開発から運用提供まで一括して提案できるコンサルティングを追求。

2021年11月に社名を「株式会社フライク」に変更し、新たなスタートを切る。IT普及を目指すコミュニティ「ふくおかクラウドCafe」や、YouTube「システム組立ちゃんねる」なども運営し、地方企業のIT化推進に日々努めている。

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