
業務改善に取り組むと決めて、軽い気持ちでITツールベンダーに問い合わせをしていませんか?
もし心当たりがあるなら、すでにシステム導入の落とし穴に立っているかもしれません。
最初は単に情報収集のつもりで問い合わせをしたものの、デモ画面を見て「いいな、うちでも使えそうだ!」と思い始めます。
そして営業担当の熱のこもった説明を聞いているうちに、気づけば「このツールを導入する」という”無意識の確定”が起こっています。
本来は「改善したい業務は何か?」、「どこにムダがあるのか?」、それを改善することで「どれだけの時間が空くか?」──を明確にすることが先のはずです。
しかし現実には、ツールの機能・画面、そして、値引き・営業トークに思考が引っ張られ、目的が「業務改善」から「ツール導入」にすり替わってしまう。
これが、多くの企業が陥る静かに進行する恐怖です。
本記事では、そんなツールありきの地獄に陥らず、業務改善 → 資産価値検討 → IT投資という本来の順番を守るために何をすべきかを解説します。
次のツール選定を失敗させないために、ぜひ参考にしてみてください。
記事の最後に、フライクから問い合わせ前に準備しておきたい実践テンプレート無料プレゼントのご案内があります。
① 業務フロー設計書サンプル
② 6つの準備項目
どうぞ最後まで読んで、自社に役立ててください。
多くの企業が「とりあえず話を聞いてみよう」という軽い気持ちでITツールベンダーに問い合わせをします。しかし、この最初の接触こそが、導入の成否を決める最も重要な分岐点なのです。
なぜなら、問い合わせの時点で以下のような自社の前提条件やアジェンダを整理できていないと、その後の打ち合わせはすべてベンダー主導で進んでしまうからです。

そして気づけば、「このツールを導入する前提」で話が進んでしまいます。本来、ITツールは業務改善を実現するための武器であり、手段に過ぎません。
しかし多くの企業では、その武器を使いこなすための準備──つまり、業務の整理、課題の明確化、改善プロセスの資産化──ができていないのが現状です。
このような問い合わせ時の準備不足が原因で、ツールが目的化してしまう。その結果、導入後に「業務に合わない」「使いこなせない」という声が現場から上がることになるのです。
多くの企業が、ITツールベンダーへの問い合わせ時に抽象的な相談をしてしまいます。一見、業務改善への前向きな姿勢に見えますが、実は「ツールありき」の商談へと誘導される入り口なのです。
典型的なNG例:
これらの問い合わせがダメな理由は、「主人公は誰か?」という点です。
これでは、ITベンダーやシステム導入企業が「おぉ、提案できるじゃん。自社のこのツールを提案しよう」とITツール脳になってしまいます。

あなたの企業は、ITツール導入が目的ですか?
違うはずです。
問い合わせの段階で自社の課題が整理されていないと、その後の商談はすべてベンダー主導になります。つまり本来の目的である「業務改善」が「ツール導入」にすり替わってしまう──これが、システム導入失敗の最大の原因なのです。

ITツールベンダーへの問い合わせを「本質的な課題解決」に導くための情報収取・ITツールの見極めをするためには、事前に以下の6つの準備を整えておくことが不可欠です。
これらを準備することで、ベンダーに対して自社の課題を正確に伝え、最適な提案を引き出すことができます。
① 自社のビジネスモデルの説明
自社がどのようなビジネスモデルで価値を提供しているのかを明確に説明できるようにしましょう。
といった全体像を整理します。これにより、ベンダーは自社のビジネス特性を理解し、業務改善の提案を適切にカスタマイズできるようになります。
② 改善したい業務における現状の概要業務フロー
改善したい業務の全体像を把握し、現状の業務フローを可視化しましょう。誰が、どの順番で、何を行っているのかを明確にすることで、業務の全体像が見えてきます。
③ ボトルネックとなっている業務の詳細業務フロー
概要フローの中で、特に時間がかかっている、ミスが発生しやすい、属人化している箇所はどこか。そのボトルネックとなっている業務を深掘りし、詳細な業務フローとして整理しましょう。具体的にどの工程で、どのような問題が起きているのかを明らかにします。
④ ボトルネックが生み出す負のスパイラル
そのボトルネックが放置されることで、どのような悪影響が連鎖的に発生しているのか。
例えば、「承認待ちで案件が止まる→顧客への回答が遅れる→信頼を失う→失注リスクが高まる」といった負のスパイラルを言語化しておきましょう。これにより、改善の緊急性と重要性が明確になります。
⑤ 解決したあと、具体的にどのような業務フローを希望しているか?
改善後の理想の業務フローを描きましょう。「この工程を自動化したい」「この承認を省略したい」「この情報を一元管理したい」など、改善後の具体的な姿を言語化することで、ベンダーに対して明確な要件を伝えることができます。
⑥ 希望スケジュール
導入・運用開始の希望時期を明確にしておきましょう。「いつまでに導入したいのか」「段階的な導入を検討しているのか」「トライアル期間はどの程度必要か」といったスケジュールを整理します。これにより、ベンダーは実現可能な提案を行いやすくなり、プロジェクト全体の進行もスムーズになります。
これら6つの準備を行うことで、問い合わせ時に自社の課題と改善の方向性を明確に伝えることができ、ベンダー主導ではなく、自社主導でツール選定を進めることが可能になります。
ここでは、ITツール選定において最も重要な「自社×業務フローを伝える力」について、具体的にどのような情報を整理し、どう伝えるべきかを解説します。
多くの企業が、ITツール導入の商談で自社の業務フローを正確に伝えられない理由は、主に以下の3つに集約されます。

① 業務フローを意識していないという悲しい現実
多くの企業では、業務フローが明文化されておらず、先輩社員のやり方を見よう見まねで引き継いでいるのが実態です。そのため、業務全体の流れを把握するのではなく、目の前の「単発のタスク」をこなすだけの仕事になっています。
そのため、なぜその順番で行うのか、前後の工程とどう繋がっているのかを把握できていません。
さらに深刻なのは、業務フローが意識されていない組織では、同じ業務でも担当者が変わればアウトプットに変化が生じるという現実です。つまり、新人教育や中途メンバーの教育において、「何を」「どの順番で」「どのように」教えればいいのかが明確になっていないため、教育そのものが非効率かつ属人化してしまいます。
結果として、人によって業務の質がバラつき、組織全体の生産性向上が阻害されるのです。このような状態では、業務フローという概念自体が存在せず、ITツール導入の土台が整っていないと言わざるを得ません。
② 「うちの業務は特別・複雑」という幻想と思考停止
「うちの業務は特殊だから」「他社とは違って複雑だから」—そう思い込んで、業務フローの整理を諦めているケースがあります。しかし、どんなに複雑に見える業務でも、工程を分解し、順序立てて整理すれば必ず可視化できます。
実際、多くの企業が「特殊」だと考えている業務の大部分は、他社でも見られる共通的な業務プロセスです。確かに業界特有の専門用語や独自のルールは存在しますが、それらも「受注→確認→処理→納品→請求」といった基本的な流れに分解できます。
複雑だからこそ業務フローの可視化が必要なのです。複雑な業務を頭の中だけで管理しようとするから混乱が生じます。図式化して整理すれば、誰が見てもわかる状態にできます。この「自社は特別」という思い込みが、業務改善の第一歩を妨げているのです。
③ 属人化を言い訳に、教育もスキル継承も諦めてITツールに現実逃避
「この業務は〇〇さんにしかできない」という属人化が進んでいる企業では、業務の標準化や教育体制の構築を諦め、ITツール導入で問題を解決しようとする傾向があります。しかし、属人化した業務をそのままITツールに載せ替えても、結局「属人化している人がそのツールを使わない」というオチが待っています。
本来、属人化している業務こそ、まず業務フローを可視化し、標準化に取り組むべきです。ITツールは、標準化された業務を効率化するための道具であり、属人化を解消する魔法の杖ではありません。

今実施している業務には、必ず前後の業務があります。この流れをわかりやすく説明するには、「5W1H」で整理しましょう。
▶ Who(誰が業務をしているか?)
担当者や部署を明確にします。「営業担当」「経理担当」「承認者」など、各工程で誰が関わっているのかを特定しましょう。複数の人が関わる場合は、それぞれの役割も明記します。
▶ What(何の業務をしているのか?)
具体的な作業内容を記載します。「見積書を作成する」「請求書を発行する」「在庫を確認する」など、抽象的な表現ではなく、誰が見てもわかる具体的な作業を書き出しましょう。
▶ When(いつその業務が発生するのか?)
業務が発生するタイミングを明確にします。「受注後すぐに」「毎月末に」「承認完了後に」など、業務の発生条件や頻度を記録します。
▶ Where(どこにアウトプットを記載するのか?)
業務を実施する場所やシステムを特定します。「社内システムで」「Excelで」「紙の帳票で」など、どのツールや環境で作業しているのかを明記しましょう。
▶ Why(なぜ実施する必要があるのか?)
業務を行う理由や目的を記載します。「法令対応のため」「顧客への報告義務のため」「社内ルールのため」など、その工程が必要な理由を明確にすることで、省略可能かどうかを判断できます。
▶ How(どのように前後の業務につなげるのか?)
具体的な作業手順や方法を記載します。「データを転記する」「承認印をもらう」「メールで送信する」など、実際の作業方法を詳細に記録しましょう。

情報の流れが滞る箇所や、作業時間がかかる工程を特定してください。「承認待ちで案件が止まる」「データの転記に時間がかかる」「情報共有が遅れる」といったボトルネックを明確にすることで、改善すべきポイントが見えてきます。
さらに重要なのは、「なぜその業務を改善したいと思ったのか」という感情や背景を把握することです。「毎回承認待ちでイライラする」「同じ作業の繰り返しで疲弊している」「ミスが多発して顧客からクレームが来る」「残業が減らず社員のモチベーションが低下している」—こうした現場の声や課題感こそが、業務改善の真の動機です。
この「改善したい理由」を明確にしておけば、ベンダーに「何を解決したいのか」を正確に伝えられます。単に「効率化したい」ではなく、「承認プロセスが遅くて営業機会を逃している」「手作業が多くてミスが頻発し、顧客満足度が下がっている」といった具体的な課題を共有することで、最適なソリューション提案を引き出せるのです。

現在の業務フローがなぜそのような形になっているのか、その背景や理由を把握しましょう。「昔からこうやっている」「法令で義務付けられている」「顧客からの要望に応えるため」といった理由を理解することで、変えられる部分と変えられない部分を明確に区別できます。
ここで重要なのが、一旦その業務を「否定」してみることです。以下の2つの視点で、既存の業務フローを疑ってみましょう。
● その業務を変えるときにボトルネックになるのは何か?
「この工程を変えたいけど、〇〇さんが反対する」「システムの制約で変えられない」「顧客との契約上、このフローが必要」といったボトルネックを洗い出しましょう。ボトルネックを把握することで、何が本当の障壁なのか、それは乗り越えられるものなのかが見えてきます。
● そもそもその業務、やる意味あったっけ?
「なぜこの承認が必要なのか?」「このチェック作業は本当に価値を生んでいるのか?」と問いかけてみてください。「昔からやっているから」という理由だけで続けている業務は、実は不要なケースが多いのです。一旦すべての業務を疑い、「うん、なくてもいい!」と思ったら、その業務は改善検討の対象にしましょう。
この「否定」のプロセスを経ることで、本当に必要な業務と、惰性で続けている無駄な業務が明確になります。そして、無駄を削ぎ落とした上で、本当に改善すべき業務にリソースを集中できるのです。
フライクのマーケティング・セールス業務のフロー図をサンプルとして解説します。
今回はセールス領域をサンプルとして取り上げます。改めてセールス領域を5W1Hで考えていきましょう。
▶ Who(誰が業務をしているか?)
まず役割として4つあります。
● 役割①:60分無償相談会を主担当するセールス担当。主に受注までの路地周りを担う
● 役割②:プレコンサルティングとしての位置づけである、120分無償相談会をメインで実施する
○このメンバーが有償プロジェクトにおけるプロジェクトマネージャーになることが多い
● 役割③:プリセールス活動を通しての、アシスタント業務を実施。
● 役割④:提案資料の作成。骨子は社内メンバーが作成するが、きれいな見栄えにするのは外部メンバーへアウトソーシング
それぞれの役割はこのようなメンバーが担っています。
▶ What(何の業務をしているのか?)
セールス領域では、大きく分けて2種類の面談につながります。
▶ When(いつその業務が発生するのか?)
流れは、事前準備 → 60分無償相談会 → 機密保持契約の締結 → 120分無償相談会 → 提案資料作成 → 再ディスカッション → 見積書提出 → 内諾 → 業務委託契約書・注文書締結 → 受注となります。

各段階で実施することを業務フローで示していきます。
▶ Where(どこにアウトプットを記載するのか?)
セールス領域で使っているシステムは以下の6つです。
● Hubspot
- 問い合わせ者がどのページを閲覧したか、どのチャネル経由でフライクと初回接点があったか、どの資料をダウンロードしているかを把握
● Salesforce
- リード、商談管理はもちろん、見積書、発注書といった見込み管理から受注までのすべてのプロセスを見える化するツールとして利用
- 帳票類もSalesforceで作成可能
● Box
- Salesforceで作成した帳票類、顧客提案資料や受領資料などを保管
● DocuSign
- 機密保持契約、業務委託契約書、電子契約書などを電子締結するために利用
● Notion
- 顧客議事録やAIを使った事前準備、議事録作成・まとめ共有といった業務を実施
● Backlog
- セールスに関するタスクを管理。Salesforceの商談管理だけでは漏れがちな細かいタスクを管理
▶ Why(なぜ実施する必要があるのか?)
この業務フローを実施する理由を説明します。
● 事前準備を実施する理由
- 問い合わせ者がYouTube「システム組立ちゃんねる」のファンであることが多く、一般的な事前準備とは少し異なります。
- Hubspotでどのコンテンツをどれくらい閲覧しているか、どのチャネル・どのコンテンツから遷移してきているのかを把握し、当日のディスカッションを充実させます。
- また、企業情報、担当者情報を事前にしっかり準備することで、当日どんな話題でも展開できるよう、できる限りの準備を実施します。
● 60分無償相談会
- フライクはITツールを開発しているベンダーではありません。上流コンサルティングを実施し、企業の業務改善をお手伝いするパートナーです。そのため、問い合わせ企業が期待通りのことができるかを見定めていただく必要があります。
- さらに、問い合わせをいただいた企業の課題を見極め、それを解決できるかも見極める必要があります。
つまり、両者の期待値が合致するかを見極める必要があります。
■例えば、問い合わせ企業は3ヶ月以内にHubspot・Salesforce・freee会計の利用開始を希望している
□フライクは業務設計からシステム設計、システム構築に6ヶ月以上要すると考えている
□この状態でプロジェクトをスタートしても炎上する可能性が高い
☛この認識齟齬をなくすため、しっかりと期待値調整をしていく
このように、一工程ずつ「なぜ実施するのか?」を社内の共通言語にしていくことが、この工程で必要なことです。
▶ How(どのように前後の業務につなげるのか?)
具体的な作業手順や方法を記載します。「データを転記する」「承認印をもらう」「メールで送信する」など、実際の作業方法を詳細に記録しましょう。
ここまでの5W部分をしっかり流れで記載していくのが「HOW」であり、業務フロー図となります。
では、フライクのサンプルを見てみましょう!







このような業務フロー図を問い合わせ時に用意しておけば、ITツールベンダーも自社ツールで解決できるポイントと費用対効果を明確に提案できるようになります。
百聞は一見に如かず—具体的なイメージは湧きましたか?
上記で紹介した「業務フロー図」と、以下の「6つの準備項目」を使って、実際にITツールベンダーへ問い合わせをする想定で準備を進めてみましょう。今回は「事前準備(60分無償相談会)」フェーズをより効率化するためのITツール導入を例に解説します。

<ITツールベンダーに問い合わせする前の準備項目>
1. 自社のビジネスモデルの説明
①フライクは上流コンサルティングを提供する企業で、システムやITツールのベンダーではない
②YouTube「システム組立ちゃんねる」を通じてコンテンツマーケティングを展開し、問い合わせを獲得
③ヒヤリングを重視し、企業のビジネスモデルや売上から利益が残るまでの流れを把握。業務設計からシステム設計、システム構築までを一貫してサポート
2. 改善したい業務の現状フロー
①現在、問い合わせ後の事前準備では、企業のホームページ、担当者のLinkedIn・Wantedly・WEB記事、IPO情報などを手動で検索・収集
②Hubspotでの閲覧履歴確認と合わせて、これらの情報を整理しNotionの議事録テンプレートに記載しているため、1件の打合せに対し2〜3時間の事前準備が必要
3. ボトルネックとなっている業務の詳細フロー
4. ボトルネックが生み出す負のスパイラル
5. 改善後の理想的な業務フロー
6. 希望スケジュール
※詳細はホワイトペーパーでご確認いただけます。
ITツール選定で失敗する企業の多くは、「自社の業務フローを正確に把握していない」「ベンダーに丸投げ」という共通点があります。しかし、本記事で解説したように、業務フローを可視化し、改善したい理由を明確にして業務を一度「否定」してみることで、本当に必要なITツールが見えてきます。
問い合わせ前に、この一手間をかけるかどうかで、ITツール導入の成否が大きく変わります。
本記事で紹介した「6つの準備項目」を実践することで、あなたの会社は以下のような成果を得られるでしょう。
「でも、業務フローの可視化って難しそう…」「どこから始めればいいかわからない…」と感じた方もいるかもしれません。
そこで、今回このブログを読んでくださった方に、すぐに使える2つの無料サンプルをプレゼントします!
フライクが実際に使用している
● 業務フロー図(完全版・Excel編集可能)
● ITツールベンダーへの問い合わせ前に準備すべき6項目のテンプレート(完全版・Excel編集可能)
▼ホワイトペーパーDLはこちらから

これらを参考にしながら、今日からすぐに自社の業務フローの可視化を始めてください!
あなたの会社のITツール選定が成功し、業務効率化が実現することを心から願っています。
一緒に、より良い働き方を実現していきましょう!
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