地方×中小企業が2030年の人材採用難の時代を見据えて取り組むべきシステム戦略
〜Salesforceはエコシステムの中心地〜

地方×中小企業が2030年の人材採用難の時代を見据えて取り組むべきシステム戦略<br>〜Salesforceはエコシステムの中心地〜

こんにちは、システム組立ちゃんねるを運営している株式会社フライクの大瀧です。

突然ですが、各国の企業が売上高に対し、どれくらいITへ投資しているのかを聞いたことはありますか?

この数字を国や地域ごとに比較したところ、2020年時点で日本の大企業は1.5%。それに対して、欧米各国は3.6%といわれています。このように、欧米各国は日本に比べ3〜4倍の額をITに投資していることが分かります。

また、日米の国内総生産(GDP)を比べると1994年から2015年の20年間で日本はほぼ横ばい、その一方でアメリカは2.5倍に成長しています。

このように、日本における売上高に対するIT投資額と生産性は横ばいという状況です。そんな中、私たちフライクは3期目であるにもかかわらず、ITツールやシステム研究に対して売上の10%前後を投資しております。

使っているITツールは以下の約30種類です。

では、なぜ売上の10%もシステムに投資しているのか?
そして、なぜ30ものITツールを使っているのか?

この質問にお答えする前に一つ質問をしたいと思います。

2030年に644万人という数字は、どのような意味かおわかりになりますか?

パーソル総合研究所によると、2030年には労働需要−労働供給のギャップが644万人になるといわれております。

出典:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」
https://rc.persol-group.co.jp/news/files/future_population_2030_4.pdf

つまり、2020年から2030年の10年間で、労働需要−労働供給のギャップは2倍近くに上昇し、さらに深刻な人手不足の状況が訪れるでしょう。またそれに比例して、実質賃金も上昇するといわれています。

私たちフライクは現在、福岡県福岡市でビジネスをしております。そして、2023年には福岡市東区香椎という場所に本社を移す予定です。
まちがいなく地方企業であり中小企業である私たちフライクも、この問題に直面するでしょう。

つまり、地方企業×中小企業にとって「人手不足」と「高賃金化」は重要な課題の一つです。

では、先程の質問について回答をいたします。

なぜ売上の10%もシステムに投資しているのか?
そして、なぜ30ものITツールを使っているのか?

フライクがこれらを実施している理由は、2030年に迎える労働需要と労働供給のギャップを見据え、地方企業×中小企業にとって深刻な課題となるであろう「人手不足」と「高賃金化」に対し、一足先に向き合っているためです。

このブログを通してお伝えしたいことは以下の3つです。

なぜ 伝えたいのか?
魅力ある企業、社会を次世代につないでいくことが私たちフライクの倫理観

どうやって 伝えたいのか?
人材採用難、労働力確保が困難を迎える前にフライクが行っているDXを参考にしてほしい

何を 伝えたいのか?
経営リソースが限られている地方中小企業に対し、フライクのシステム組立図を参考にして、VUCAな時代のシステム戦略を伝えたい

このブログが、地方企業×中小企業が2030年の人材採用難の時代を見据えて取り組むシステム戦略について、参考になることがあれば幸いです。

また、今回のブログは下記の動画でも解説しております。
もしよろしければコチラの動画もご覧くださいませ。

▼「解説動画」

【魂のプレゼン!】第10回Salesforce全国活用チャンピオン大会に落選したけど伝えたいフライクのSalesforce利活用術!

参考:私たちフライクの倫理観

よくある地方企業×中小企業のシステム課題 

売上を上げたい、効率化したい、多くの社員を採用したい、経理作業が多いのでバックオフィスを効率化したいなど、企業の悩みは多岐にわたります。
そこで、企業は一つ一つの課題を解決するために【人材】を採用し、マンパワーで課題を解決してきました。
しかし現代は、労働力人口は下降の一途をたどっています。そのため、従来のようにマンパワーでこの課題を解決することは難しい状況です。
そこで企業は、IT導入補助金やDX推進といった時流に乗った言葉につられ、システムへ投資をします。
しかし、システムを導入して成功したと胸を張って言えますか?
日経ビジネスの記事によると、2018年時点でシステム導入成功率は「52.8%」といわれております。
この数字からわかることは、2社に1社が失敗しているということです。

【出典:プロジェクト失敗の理由、15年前から変わらず】
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/100753/030700005/

その理由の一つとして、「システムが部分最適になっている」ことが挙げられると私は考えております。

例えば、マーケティング部門は認知・問い合わせ数を増やすために、メルマガ送信ツールやマーケティングオートメーションツールを導入します。営業部門は売上を上げるために顧客管理・案件管理システムを導入します。経理部門は社内の数字を見える化をするために、クラウド会計を導入します。
このように、部門だけの課題を解決するためにシステムを導入していることが多々あります。

部門の課題はミクロ視点で考えがちですが、企業の課題はマクロ視点で考え、システム導入をすべきです。
そこで、私たちフライクは企業が2030年に直面するであろう「人手不足」と「高賃金化」をシステムで解決できるよう、一足先にシステムに対し投資を行い、システムを武器に変革する研究を行っています。

その視点が以下の2つです。

  1.  全体最適を見据えて各部署の領域の隙間を埋めるための全体最適を考える
  2.  一つのITツールで解決するのではなくAPIを利用し、擬似的にERPシステムをオリジナルで創る

ここで、少し用語について解説いたします(ご存じの方は飛ばしてお読みください)。

● ERPシステムとは?
「Enterprise Resource Planning」の略で、日本語では「統合業務システム」と呼ばれております。会計・人事・生産・物流・販売などの会社のセクションにおけるといった「ヒト・モノ・金・情報」、いわゆる経営4リソースを一つのシステムで管理できるものです。 しかし、このシステムは数千〜数億円の費用がかかるため大企業・中堅企業向けといえます。

● APIとは?
「Application Programming Interface」の略で、異なるシステム同士を連携する仕組みです。 セールスフォースやfreee、Boxといったクラウドシステムはどうしても部分最適になりがちですが、このAPIという技術を用いるとシステム同士を連携できます。 APIをうまく利用し、中小企業はERPシステムを擬似的に作ることができます。

私たちフライクは情報連携の中心的な位置付けのシステムとして、顧客管理・案件管理システムでシェアNo1のセールスフォースを採用しております。
セールスフォースを使うことにより、複数のクラウドシステムをシームレスに連携しています。さらにツール同士の隙間を埋めるためにAPIを活用することで、結果として「中小企業向けERPシステム」という究極のエコシステムを実現しました。

全体最適を見据えたシステム組立図

では、早速フライクの全体最適を見据えたシステム組立図についての話をしていきたいと思います。
先ほどお伝えした通り、フライクではセールスフォースを中心として様々なITツールをAPIを用いて連携しております。
2022年6月時点での組立図がこちらです。

セールスフォースを情報の中心として、

【共通領域】
 fondesk、Slack、Chatwork、Notion

【HR領域】
 HRhacker

【マーケティング領域】
 HubSpot、Google Analytics

【セールス領域】
 Sansan、Box、Zoom

【バックオフィス領域】
 クラウドサイン 、LayerX、MoneyForwardクラウド請求書、freee会計

を使っております。

それでは各領域の概要についてお話をしていきます。

共通領域編

共通領域では主に、社内の生産性を高めることを意識しております。
では、共通領域についてどのようにシステムを組み立てているかについてご説明いたします。

1. 電話代行サービス〜fondesk〜

fondeskは社員の代わりに電話を受け、その内容をメッセージで共有してくれる電話代行サービスです。人手の少ない中小企業では、営業や勧誘目的の電話を受けて社員の手が止まってしまうと、本来の業務がスムーズに進みません。これを防ぐために、電話代行サービスを利用しております。

具体的な業務フローはこの様になっております。

2. フロー型情報共有〜SlackとChatwork〜

コミュニケーションツールは主にSlackを使っております。お客さまとのやりとりにも利用しており、フライクのお客さまの90%はSlackを利用していただいています。ただ、ITにそこまで強くない企業さまや士業のお客さまはChatworkを使っていただいております。
Slackは単なるコミュニケーションツールにとどまらず、情報集約の場とし利活用できます。
下図のようにfondeskはもちろんのこと、Gmail・クラウドサイン ・Asana・セールスフォースといった様々なITツールの通知先をSlackにすることで複数ツールを自発的に確認する必要がなくなります。

3. 生産性を高めるための情報集約

このように複数のITツールを使っていると「どこに情報があるのかわからなくなるのでは?」という質問をいただきます。
これを防ぐために、私たちは情報を「フロー型」と「ストック型」に分類して考えております。

具体的には以下のような使い方をしながら、フロー型とストック型をうまく切り分けて使っております。

4. 共通領域におけるまとめ

共通領域で使っているシステムは、社内外のメンバーの作業効率化と情報集約を目的としております。
フライクのように人数の少ない企業でも、情報がどこにあるかを明記することにより、社員が必要な情報にアクセスしやすい環境を作ることができます。
つまり、コミュニケーションはSlack、ストックはセールスフォース・Boxと領域を分けることにより社内版Googleのような情報の蓄積・検索が可能となります。

HR領域

HR(Human Resource)の領域では、人を雇い入れるためのツールをメインとして利用しております。
フライクには人事や総務の専任者がおりませんが、採用面談はひと月に数十件ほど行っておりました。
これらの情報の管理だけでも非常に大変ですので、人材管理システムを導入するのではなく、複数のツールを組み合わせることにより、自社の作業を極力分散させないようにしております。

1. 求人原稿&採用管理システム〜HR hacker〜

HR hackerはインビジョン株式会社が提供しているITツールです。
機能は大きく分けて以下の2つです。

  1.  求人原稿をHR hackerに入力すると最大9つの求人検索エンジンに自動連携
  2.  応募者の選考ステータスを管理

フライクでは②のステータス管理をセールスフォースで独自に開発しているため、①をメインとして使っています。

2. HR hacker×Salesforce×Box×HubSpotで実現する人事専任者ゼロの採用活動 

2022年6月時点でフライクの間接部門のメンバーは0名です。そのため人事専任者もおりません。
求人原稿を寄稿する業務や応募者とのやり取り、履歴書・職務経歴書の保管、日程調整などの採用活動に関する業務はすべて自動化しております。

人材採用が難しいといわれるこのご時世ですが、魅力ある求人原稿を書き、魅力あるメンバーを採用していくことは地方企業×中小企業にとって重要な課題の一つです。
なかでもスタートアップは限りある資源の中で成長をし続けることが至上命題となります。
フライクのように、人事専任者がいない状況でも採用活動をスムーズにかつなめらかに行うことができる状況をシステムで作り上げることができます。

バックオフィス領域

バックオフィス領域は直接売上に携わることのない間接部門という認識をされている企業が多いと思いますが、私は、この部門が企業成長の鍵を握っていると思います。
赤字企業の多くは売上を上げることができなくなった企業であることは間違いありませんが、企業内でも販管費のバランスがおかしいことに一番初めに気がつく部門が経理なのです。
経理は経営管理です。つまり、船の航海士です。
その航海士のためのシステムがアナログだと、リアルタイムに数字を把握することができません。これが原因で経営判断が鈍化してしまう可能性があります。

そこで、フライクではバックオフィス領域のデジタル化に力を入れ、リアルタイム経営に向け、各種ITツールを連携させて自社の数字を把握できるようにしております。

1. 営業事務専任者ゼロでの契約業務〜CLOUDSIGN〜

契約書業務は、何かと手間がかかります。印紙購入・製本・郵送はもちろん、押印作業も「オフライン」でないと作業が進みません。コロナ禍で出社回数が限られるため、契約締結までに時間が大幅にかかることも想定されます。
そこで、上記の作業をすべてオンラインで完結できるのが「電子契約」のクラウドサイン です。

クラウドサインは単独で使うのではなく、セールスフォースとBoxをうまく使って業務を組み立てています。

1. Boxに保存されている契約書の雛形を取得

2. セールスフォースに保存されている契約に関する情報(契約サービス名、企業名、企業の住所、氏名)を元にBoxの雛形フォルダをコピーして書類を作成

3. Boxに新規追加された契約書をクラウドサインに連携し、クラウドサインにてお客さまと電子契約

このようにしてセールスフォース×クラウドサイン×Boxを連携することにより、契約締結に不慣れな人材でもシステムにきちんと入力すれば契約書作成&締結を完了させることができます。
これにより、契約書作成工数と契約に関わる費用(印紙、製本、郵送)と工数を削減できます。さらに、営業事務・契約などの専任者を置かなくても契約書作成&契約締結が可能となります。

2. 請求書作成・送付・会計帳簿への仕訳反映〜MoneyForwardクラウド請求書×freee会計〜

企業の数字情報をリアルタイムに把握するためには、営業部門が日々生み出す売上情報を随時把握する必要があります。しかし、中小企業やスタートアップのバックオフィスメンバーは、毎日の作業に時間を費やしてしまい、これを行うことが難しいというケースも多く見られます。
なぜ日々の業務に追われてしまうのかというと、紙やアナログな業務フロー、営業部門からの情報伝達が遅いなどの理由が考えられます。
その結果、経理部門は本来の業務である「経営管理」が行えず、仕訳業務や社内の間接部門ならではの作業にかかりきりになってしまうという悪循環が生まれます。

そこで、私たちフライクは、バックオフィスメンバーは0名のままでシステムを武器に変え、必要な部分のみを外注して業務を委託しております。
その簡単な業務フローが以下となります。

1. 見積書作成はセールスフォースから商品マスターを選択し、見積書が自動発行される

2. 出力された見積書は紙を使った稟議ではなく、セールスフォース中で稟議フローを実現し、押印&Boxに保存

3. 契約完了後は、見積データを元に請求書を自動生成し、MoneyForwardクラウド請求書に反映

4. MoneyForwardクラウド請求書で発行された請求書は、Boxに格納 

5. 請求書発行はボタンを押すだけでお客さまに送信 

6. お客さまへメールで請求書を発行後、freee会計へ仕訳反映&債権管理を実施

7. 送信した履歴や入金状況をセールスフォースの該当レコードに反映

このようにして、見積〜受注〜契約〜請求〜仕訳〜債権管理〜入金までをシステムで連携して実現しております。
つまり、営業×営業事務×経理のコミュニケーションコストが発生せず、請求書発行&送付⇒債権管理&会計帳簿への記帳が1クリックで実現できています。

詳しくはこちらのブログをご覧ください。

【概要編】Salesforce×freee×MoneyForward×Boxで実現するバックオフィス業務改善

フライクにとってSalesforceとは?

中小企業にとって、人手不足と高賃金化は避けては通れない道です。
しかし、セールスフォースを中心としたクラウドITサービス・ツールを組み合わせることで中小企業向けERPを作り、それらの課題を解決できる可能性があります。
システム一つ一つはただのツールかもしれません。
しかし、それらを組み立てることによって可能性は無限大に広がります。
もちろん、私たちフライクはセールスフォースの素晴らしさを実感しているからこそ使っています。しかし、セールスフォースのみですべての課題を解決することはできません。
そこで、システム組立屋としてITツールを組み立てることで、システムを武器に変革ができるかもしれません。
このブログを通して、一つでも皆様のビジネスにお役に立てることがあれば幸いです。

まとめ

本ブログでは「地方×中小企業が2030年の人材採用難の時代を見据えて取り組むべきシステム戦略」と題して、フライクが取り組んでいるシステム、そして社会課題についてお話をしました。

フライクは「経営コンサルティング」と「ITツールコンサルティング」の二軸でビジネスをしています。そのため、お客さまのリクエストに応じて調査・研究開発費用を頂戴しながらIT研究を行っています。
そんな背景から、通常の企業にしては多すぎるのでは?と思われるほどのITツールを使っています。
今回ご紹介したITツールを使い、全く同じ組み立て方で、全て同じようにやらないとセールスフォースや他のITツールを活かせないのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、その心配は全くの無用です。弊社が組み立てているセールスフォースを参考に、必要な箇所だけを真似していただければ結構です。
もし組み立てやITツール選定でお困りの場合は、弊社までご相談いただけたら幸いです。弊社がおすすめするITツールは全て自社の業務で使用しているもの、もしくは研究投資として使い勝手や費用対効果を検証したものです。
ぜひ今回ご紹介したITツールを利用し、生産性の向上や業務改善を実現していただけたらと思います。本ブログやITツールについてのお問合せもお待ちしています。

株式会社フライク 代表取締役 大瀧 龍

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