
こんにちは!フライク採用広報チームです!
今回は、「Salesforce経済圏からの脱却」と題して、代表取締役の大瀧と執行役員の新堀にお話を聞いてみました。
急成長を遂げてきたSalesforceが莫大な売上規模を誇り、導入企業が右肩上がりに増え続ける中で、「Salesforceが使えます」と言えればある程度安定した収入・売上が得られるとも言える「Salesforce経済圏」というものも年々規模を拡大しています。
しかし裏を返せば、Salesforce経済圏の中にとどまり続けることは、1ツールに依存していることでもあり、キャリアも見識もSalesforce周辺の限定的な領域に閉じられてしまいます。
Salesforce経済圏とそこからの脱却についての、フライクの考え方とは。

【導入】Salesforce経済圏について
—新堀さんは新卒からSalesforceの開発ベンダーとして長年Salesforceを使われていますが、「Salesforceありきの経済圏」の現状や課題をどのようにご覧になっていますか?
新堀:私は2017年から業界に入り、前職から合わせると計8年ほどSalesforceの業界にいることになるのですが、個人的にはそう簡単に「Salesforceありきの経済圏」は廃れないとは思っています。
ただ課題については、どこにスコープを置くかで結構変わってくるでしょう。たとえばエンジニアという観点だと、転職をするにしろ自分のキャリアを築くにしろ、“即戦力でSalesforceがない業界には行けません”、“Salesforceのインプリやコーディングしかしていません”というのは結構厄介な状況なのではないかと思います。
一方で、フロントや業務のことをSalesforceで考えるような人たちは、正直Salesforce以外のツールでも使っていけると思うので、そこはケースバイケースでしょうか。
コーディングに関してもう少しお話しすると、現状AIに任せられるような状況にもなってきていますし、もっと言えば特殊な契約もなく、無料で使えるソフトで「コードビルダー」があるくらいなので、余計に危うさを感じています。
それこそフライクに入る前の私はSalesforceのコーディングしかできない状態だったので、その頃の私が今いるとすると相当焦っていたと思います。
Salesforceを中心とした経験を活かしたところに就職しようとすると、企業数が限られてくる。ならすごくモダンなアプリ開発とかSaaS開発といったところに行こうと思うと、選択肢はいっぱいあるものの、実務経験がないところからのスタートになってしまうし、そもそもエンジニアとしての必須要件を満たしていないことがある。
求人となるとやはりアプリ開発とかの方になってしまうので「Salesforceだけできます!」というのは、エンジニアとしては非常に危ない状況なのではないでしょうか。
—大瀧さんは、経営者目線からこの「Salesforceありきの経済圏」をどのように見ていますか?
大瀧:会社経営という観点ですと、大きな市場があると参入しやすいんです。案件もたくさんあるので。
ただその一方で統廃合というか、潰れていってしまっている企業様も結構あります。案件をプライムで取れなかったり、SESとか二次請け三次請けになってしまうような現状だったり。なので「Salesforceでコーディングが書ける」というスキルだけだと、あまり重宝されない。
ノーコーディングのところになると、「アウトソーシングする価値はない」となってしまい、「それなら自分たちで勉強してやろう」という結論に至る。そういう点で見ると、コーディングだけする人たちっていうのはあまりいらなくなってしまうのかなって思いますね。
Salesforceコーディング経済圏の外側に出るということ
—「Salesforceのコーディングしかできない」というようなSalesforceエンジニアの方々がそういった現状を脱却していくためには、何が必要だと考えますか?
新堀:正直その人が「どんなキャリアを目指したいか」にもよると思うのですが、もし「エンジニアで生きていきたい!」と考えているのであれば、やはりSalesforce以外の色々なシステムや言語に触れるしかないかと。
たとえばアプリを開発してみるとか。フロント系をやりたければJavaScriptを勉強してみたり、インフラ系をやりたければAWSやGoogleのやつをやってみたり。自分から他のツールの言語技術をキャッチアップするしかないですね。
ただ、その人がエンジニアというキャリアにこだわっていなくて、それこそ設計やお客様の前に立って何かをやる仕事をしたいというところに比重を置いているのであれば、Salesforceの分野でいえば基本的なデータベースやPM(プロジェクト・マネージメント)というところを勉強してみるというのもアリではないでしょうか。
いずれにせよ何か自分からアクションすべきだと思います。
—年齢を問わず「コーディング」にまつわる業務を中心に得意とするエンジニアは多いと思うのですが、そういった方が上流工程にチャレンジする意義についてはいかがですか?
新堀:私はチャレンジすべきだと思っています。会社や組織によって違いはあるにせよ、上流工程にいかないと聞けない“生の声”ってあると思うんですね。
私自身、自分が「価値がある」と思ってやってきたことが実際の現場では使い物にならなかったり、「思っていたものと違う」と言われてしまったりすることもあります。特にUIは、一度自分が作って気に入ったUIで開発しがちですが、実際の現場の人の働き方を見たら「違うな」となることが多い。
そういう実際に使っている“人”のことを知って、どのように使っているのかというのを見ることもいい経験になったので、上流工程に挑戦することは必要なことではないでしょうか。
大瀧:今の「エンジニアが上流工程に入る」という話について、どの企業でもそれができるかと言われたら“NO”だと思っていて。新堀の場合はSalesforceアンダーではあるものの、お客様と直接話す案件が多かったから上流に立てる機会があったというのは大きいと思います。
そして、多くのSalesforceのエンジニアをやっている方の状況を見ると、二次請け三次請けのケースが多いからなかなか難しい。なので、環境によって「できる」「できない」はどうしても生まれてしまう。
なら副業ならできるかというと、エンジニアに営業力がないと尚更できない。友人の会社とかでもどのみち下請けみたいになってしまう。なので「できそうでできない」というもどかしい現状かもしれません。
フライクの思想と実践 コーダーから設計者へ
—ここからは「Salesforceで設計する」という視点でお話しできたらと思います。フライクのプロジェクトの進め方や、設計図づくりについてご紹介ください。
新堀:基本的な流れは「業務設計」「システム設計」「システム開発」「保守」の4つのステップで契約を分割して進めていきます。
そこでお客様の業務の現状をお伺いし、それに対して「今後どうなりたいのか」 「現状を改善するにはどういったツールが適しているのか」という業務軸で設計をしていき、走り出します。これを行うのが業務設計コンサルタントです。
そのフェーズが終わったら、「システム設計」のコンサルタントが入ります。 「業務設計」の時点で業務の全体像が洗い出されている状態なので、「これをシステム化するにはこれくらいの要件定義をする」という具体的な回数や時間がわかっている状態で設計します。
その設計が終わったら、「この設計書の内容を作るのであればXX円かかります」というのをお客様に提示して、一旦「業務設計」の納品は終了です。そこからお客様から「やる」というお返事があれば、「システム開発」に着手します。
なので開発の段階ですでに作るものは決まっていて、お客様の方でも業務内容と使うシステムがわかっている状態なので、納品したらすぐ使えるというような状態です。
—「Salesforceで設計をする」ということ自体あまり他で見ないような運用をされていますが、業界内でも珍しいのでしょうか。
大瀧:珍しいと言いますか、まずないでしょう。私自身他で見たことがないです。
新堀:営業の業界では議事録が多いイメージがあります。慣習的にそうなってしまっているんでしょう。
大瀧:そもそもお客様は契約したタイミングで全ライセンスを契約しているから、すぐにでも使いたい。なので設計なんてしている暇がないというところはあるでしょう。
それこそ新築のマンションを買うのと一緒で、何も建ってない状態で非常に綺麗なモデルルームだけあって、いざ契約してみたら中身が何もないから自分たちで用意するしかないんです。
—そもそもコーダーの方々であってもSalesforceを設計する機会自体があまりないのでしょうか。
新堀:頭の中では設計していると思います。ただこれはよくある話なのですが、設計書の書き方がわからないというエンジニアもいます。わかるけどアウトプットの仕方がわからないというか。
大瀧:少し横道にそれてしまうかもしれないんですが、この間とある有名グループ会社の部長職の方とX経由でやりとりをしていて。フライクの設計書を見せたら「こんなの作る時間ないけどどういうプロジェクトの進め方をしているの?」と言われたんです。
「そもそもフライクは受注するときにSalesforceとライセンス契約をしていないですよ」とお返事をしたら「そこだよね!」と(笑)
フライクの場合はSalesforceリードではない分、時間が取れるんです。でも他の企業様とかお客様の場合、Salesforceリード案件はSalesforceのライセンスをすぐに契約するため、設計書を作っている暇がないんです。だからアジャイルでやらざるを得ない。
—「コーディングしかできないけど今後様々なことに挑戦したい」と思っている方や「上流工程のことに食い込んでいける」スキルを持つ方など、様々な人材がいる中で、今後フライクでは、どのような方に来てほしいと思っていますか?
新堀:やはりフライクの強みでいくと「設計」を担える人たちを積極的に採用したいと思っています。「業務設計」「システム設計」いずれのコンサルタントであっても、人と会話しながら、ある種AIが得意としていない部分を引き受けられるメンバーを育てていきたいです。
「システム開発」の部分は正直外注でもできてしまうので、フライクに属してもらう必要性がないと思っています。
大瀧:今の新堀の話に補足をしますと、「業務設計」と「システム設計」はそれぞれの会社の特色が出やすいんです。ただ「システム設計」までした後ってコーディング規約がしっかりあると、誰が作っても同じものになる。となると、正確性と納期さえ守れていればface to faceで働かなくてもいいという結論になりました。
なので今後フライクは「業務設計」「システム設計」の部分を担える人材をフライカーズとして採用していきたいと考えています。
—「業務設計」「システム設計」を担う人材として、最低限こういうスキルがあってほしいというようなものはありますか?
新堀:強い意志さえあればいけるかなと私は思っています。
実際に業務設計コンサルタントを採用するときにすごく手こずったことがありまして。簡単にいうと「上流から下流」って難しいんですよね。コンサルタントができる人に「コーディング書いて」と言うと難しいけど、逆にコーディングが書ける人に「システム設計書作って」と言うと、書き方さえ教えれば、考え方がわかっているので書けるようになる。
私の勝手な持論ですが、キャリアの作り方としてコーディングなどの下流のコーディングをした経験があるメンバーは「やりたい」という思いさえあれば設計もできると思いますし、なんならもっと上流のコンサルティングもできるようになるでしょう。
なのでやはり「これをやりたい!」という強い思いを持って来てほしいですね。
あとはコミュニケーション能力が大事だと思いますね。上流に行きたくないエンジニアの方って、コミュニケーションを避けている人もいると思うんですよね。人の機嫌を取ったり顔色を伺ったりっていうのが苦手な人が結構いるというか。私もいまだに苦手な部分がありますけど。
私の場合は「でも相手は“人”だから」と考えられるようになってからだいぶ楽になりましたね。大瀧さんもお客様との打ち合わせで最初の空気が悪いと「これ一旦リスケしましょう!」って遠慮なく言っちゃいますし(笑)。すごいのはお客様も怒らないことなんですよね。
大瀧:私自身に「クオリティが低いのであればやらなくていい」というマインドが根底にあるからでしょうね(笑)。あとはフライクのお客様が皆良い方ばかりというのもあります。
フライクで活躍したいと思っているあなたへ
—最後に、フライクで働きたいと思っている方にお二人からメッセージをお願いします。
新堀:「Salesforceがただ好き」であれば、フライクをわざわざ選ぶ必要はないと思っています。そうでなくて、もっと根本的に「自分の作るものでお客様を幸せにしたいな」と考えているのであれば、ぜひフライクに来ていただきたいです。
そうして現場を知ってもらい、そのシステムを使うお客様の考え方を見てほしいなと思いますね。
大瀧:私はフライクを立ち上げる前に「Salesforceのビジネスをしない」と決めて転職した人間なんですが、結果それがとても良かったんですね。なので今「Salesforceを捨てようか否か」で迷っている人にはとても良い機会だと思います。そのままコーダーとしての経験を活かすこともできるし、システム設計とか新しいことに挑戦することもできる。
僕はキャリアを「掛け算」だと思っているので、自分独自の発展をしていきたいと考えている人にフライクは合うのではないのでしょうか。なので経験豊富なミドル・シニアの方々にもぜひ積極的に応募いただきたい。
一緒に世界を広げていきましょう。